ジョッパーズはどこから来たの?その由来と乗馬について
乗馬をされる方ならジョッパーズという言葉を一度は聞いたことがあるでしょう
ジョッパーズという名前の某乗馬用品のお店もあるくらいなので、それはきっと乗馬用品のことかな?と推測されたら「正解」です。
ジョッパーズという名称は英語でJODHPURSと書き、乗馬服装のキュロットをさします。乗馬キュロットについては前回の記事をご覧いただければ、より理解が深まるかもしれません。
そう、乗馬をする時には欠かせない乗馬ズボンの事です。どうして複数を表すSが付いているかは英語の特質としてメガネやハサミのようにズボンも、例え一つであっても端が二つに別れているので複数形が使われているのです。
目次
ジョッパーズのイメージ
私の頭の中でジョッパーズという言葉は、昔読んだ少女漫画の中に出てくるスラリとした背の高い見目麗しい青年貴族や将校が革長靴と共に着用していたのに、「ジョッパーズ」と検索すると建築作業員の方が着用する膝上が大きくふくらんだ形で広がり、ひざ下からは細くなった建築作業ズボンが出てきました(ショック!)
何かの間違いだろうと思い、再検索して探しても出てくるのは首にタオルを巻き、地下足袋を履いたおじさんの写真が、、、
乗馬をする方にだけでも、ジョッパーズが建築作業員用ズボンではなく本来は乗馬服装であるという事を知ってもらわなければという思いで、このブログを書くことにしました。
ジョッパーズとは
日本語のウィキペディアで「ジョッパーズ」を調べるとニッカーボッカーズと呼ばれる形のズボンが原型で、すそが邪魔にならないとして乗馬だけではなく野球・ゴルフ・自転車・登山などのスポーツウェアとして多く用いられたズボン、日本では工事現場の作業着として用いられることが多いと説明されています。
日本語ウィキペディアに掲載されている、この写真をよく見ると膝下までの長さまでしかなく、ふともも周りがゆったりとした短いズボンが本来の形のようです。
ひざ下にアーガイル模様のハイソックスにショートブーツを合わせるスタイルは今の乗馬ファッションに似ていますね
でも、漫画に出てくる男子が着ていたのは、太ももが膨らんだズボンでピカピカ光る革長靴だった、、、
こんなカジュアルなハイキング用ズボンでない気がします。
この説明に納得できなかった私は英語のWikipediaで[Jodpurs]という単語で調べ直して見ました。
すると、ふくらはぎからくるぶしまでは細く、膝上からウエスト部分は暑さ対策とした通気性を考えてゆったりと作られたインドのズボンが原型だと出てきました。さらに、北インドのマハラジャの王子が1897年にイギリスのビクトリア女王を訪問した際に自分のポロ競技チームの馬と選手を引き連れイギリスのポロ大会で活躍し、イギリス社交界の注目を集め、彼らが着ていたこのタイプのズボンも大いに注目されたようです。(私の認識が間違っていなかったことを確認できて安心しました〜)
ジョッパーズは北インド由来
19世紀後半のポロ競技で大活躍した北インドJodpurs地方の王子様が着ていたズボンだったので、このズボンはイギリスでジョッパーズと呼ばれたのが、ジョッパーズという乗馬ズボンの起源だと考えられます。
中世ヨーロッパの男性が履いていた膝丈のズボン、これをイギリスではブリーチと呼び、これを革長靴に合うよう丈をふくらはぎまで少し長くしたものに改良して乗馬用ズボンとして使われていました。
注目されたインドからのポロチームの長め丈ズボンは伝統的な英ポロ競技界では受け入れてもらえなかったようですが、背広の語源としてオーダーメードの服を作る町として有名な英国セビル・ローにて、ふくらはぎ部分を補強し、高価な革長靴ではなく短いブーツと使え、ブーツの上から被せる形に改良されたした英国スタイルの乗馬ズボン「ジョッパーズ」が誕生しました。
このジョッパーズ誕生と共にショートブーツの名称もジョッパーブーツと名付けられ、ジョッパーズが世の中に広まっていきました。
クラシックジョッパーズ、Wikipedia出典
ジョッパーズと乗馬ズボンについて
この時から乗馬ズボンは
キツネ狩りやポロ競技など富裕層の人たちが自分の脚の形にオーダーした革長靴とあわせる為に裾が邪魔にならないようふくらはぎ部分までの短め丈のブリーチ
安価なショートブーツとあわせる長め丈のジョッパーズ
の2種類に分けられるようになりました。
日本では乗馬が欧米ほど一般的でないスポーツだったので富裕層のスポーツの印象が高く、トラディッショナルスタイルの長靴と合わせる丈短めのブリーチが主に販売されてきました。
昔の日本人は背も低く足も長くなかったので、丈長めのジョッパーズでは長すぎて、欧米人には6〜8分丈レギンスの長さのブリーチが、当時の日本人には丁度くるぶし丈になったからではないかなと推測します。
このブリーチとジョッパーズ、欧米では使用方法がはっきり区別されていました。
ブリーチはロングブーツとあわせるので乗馬の競技会や乗馬のプロや上級者用。
ジョッパーズはカジュアルな乗馬や普段使い用。
特に子供は成長も早くオーダーメイドの革長靴など勿体無いので、ジョッパーズとジョッパーブーツという組み合わせが練習から競技会まで使える乗馬服装でした。
ジョッパーズとニュージーランドの事情
私たちがニュージーランドに移り住んだ20年ほど前の乗馬大会に出る子供が着ている乗馬服装はジャケットに白でなく汚れが目立たないようなバナナ色、ベージュ色のジョッパーズとジョッパーブーツというのが定番でした。でも、最近は国内乗馬競技会に出場する子供達も大人のように白いブリーチと革長靴という乗馬服装で出場、随分裕福になったなぁと思います。
ちなみに、ジョッパーズがポピュラーになる20世紀前半まで女性はスカートでサイドサドルと呼ばれる横座りの鞍で馬に乗るのが普通でした。今でもイギリスやニュージーランドにもサイドサドルクラブがあり、競技会も開かれています。
ジョッパーズは日本では使われない?
日本ではキュロットと呼ばれる乗馬ズボン、この名称は日本だけだということをご存知でしたか?
外国の馬具・乗馬用品ショップで「キュロットください」といっても『?』通じないのでご注意ください。
予断ですが、サイドサドル用のスカートは中が2つに別れたキュロットタイプだったと記憶しますので、日本で使われるキュロットという呼び方はこれが語源かもしれませんね?
ジョッパーズの成り立ち
昔はコットンやウールなどの天然素材で作るしかなかったので、鞍への乗り降りや鞍の上での動きの妨げにならないよう、太もも辺りはゆったりと余裕を持たせるために風船のようにふくらんだ形のデザインでしたが、アクリルやナイロンなど伸縮に富む合成素材が開発されたことから、ブリーチもジョッパーズも乗馬をする上で動きを妨げなくても邪魔になりがちだったふくらみやゆとりは無くなり、鞍上で馬とのコンタクトが取れる乗馬に適したフィットする形へ変化していきました。
一部の富裕層のスポーツと思われていた日本の乗馬も馬場や障碍競技だけではなくクロスカントリーや三種複合競技、馬のマラソンと呼ばれる長い距離を走破する耐久レースのエンデュランス競技などバラエティ豊かに、競技人口も増え身近なスポーツになってきました。
今のジョッパーズについて
伸縮性でだけではなく通気性、吸湿性や防汚性に富む新素材は乗馬ズボンのスタイルを大きく変えようともしています。
数段に良くなった素材を使った乗馬ズボンはよりカジュアルに馬場だけではなくクラブへの行き帰りにも使えるデザインにも変化してきました。
マラソンやウォーキング用スポーツレギンスと同じようなタイツと呼ばれる、よりフィットするタイプが最近の人気商品となってきました。
他のスポーツレギンスとの違いは、鞍へのグリップを高める滑り止めシリコンが膝部分やフルシートと呼ばれるお尻から膝にかかる部分についています。商品によってはシリコンの模様がメーカーのイニシャルやロゴ、馬のモチーフになったオシャレな商品も出ています。
プリント柄のジョッパーズ
タイツタイプはより快適に動きやすい楽ちんスタイル。
乗馬ズボンもトラディショナルタイプのブリーチに19世紀に加わったカジュアルタイプのジョッパーズ、21世紀にはライディングタイツという乗馬ズボンの新しい種類が確立されたかもしれませんね。
機能性が高くなり長く履いていても疲れないタイツタイプのキュロットは1日中履いて働かれる方や、長時間騎乗する耐久レースに欠かせないウェアです。
また、スポーツレギンスに似た感じなのでクラブ行き帰りにも使えますね
トラディショナルタイプのジョッパーズ
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最後までお読みいただきありがとうございます。
Director
YOKO
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